2ntブログ

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

バガボンドについて、ちょっと反省

前回の記事
人間、この壊れやすいもの ガンダム00第18話感想

この記事、ガンダム00を見た直後に勢いに任せて書いてみたら、ちょいとばかし勢いがつきすぎてしまってたみたいです。まるで、坂を転がる石みたいに(反省)。

なにしろ、今、読み返してみたら、この文章ってバガボンドよりもガンダム00のほうが、リアルで暴力的だ、と主張してるように見えてしまいます。
バガボンドよりもガンダム00のほうがリアルで暴力的・・・・・そりゃないわ。
いや、いや、いや、さすがにそれはない。

明らかに、バガボンドのほうがずっとリアルで暴力的です。
バガボンドのなかでも腕が切り落とされるシーンがあるわけだし。

ただ、バガボンドって「リアルで暴力的」を意図して描かれているからこそ、その限界が見えてしまう漫画だな、って前から思っていたのは事実です。

たとえば、「強敵と死闘を繰り広げることで物語を盛り上げる」っていうバトル漫画の文法を使ってしまっているせいで、結果的に武蔵が壊れにくい肉体を持った超人的な人間として描かれてしまってるところとか。

ここらへん「倒れても倒れてもあきらめずに戦い続ける」という、これまたバトル漫画の文法に則っていた矢吹丈がその肉体を崩壊させていく痛ましさと比べるとその対比が明らかになると思うんですけど。

こんなことを書くと、バガボンドが嫌いなのかと誤解されそうですけど、まあ、そりゃ誤解です。純度100%の。
私はバガボンドは傑作だと思ってるので。
つーか、原作の吉川英治の宮本武蔵よりもずっといいと思ってます。

ただ、私のバガボンドの見方ってのが、どうも他の人とはぜんぜん違うらしい。
吉川英治の宮本武蔵から、井上雄彦は相当の変更点を加えているんですけど、そこが自分には面白かったりします。
簡単に言えば、吉川英治の宮本武蔵よりも、井上雄彦の宮本武蔵のほうが好き。
だけど、吉川英治的な宮本武蔵の成分がバガボンドには残っている。
それは私の眼には余分なものとしか映らないんですけど、そこを賞賛してる人ってかなりいるんですね。その感性の違いに驚きました。
つーか、たぶん違っているのは確実に私のほうなんでしょうけど。

なので、今度、それを書いてみようかなー、とは思ってるんですけど、まあ、書かなかったりするんだろうなー。
異常な長文になっちゃうので、誰も読んでくれなさそうだし。



| 雑記 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

人間、この壊れやすいもの ガンダム00第18話感想

ガンダム00第18話。


これ、めっちゃ良かったんですけど!!!


実は、釘宮参戦前の10話くらいはいまだに録画したまま見てないです。
だから、キャラ名も主人公とスメラギさんくらいしかわからない。
しかし、なんで釘宮理恵が出てきたとたんに見始めたんだろ、私。
そんなに好きなんだろうか、釘宮のことが。
しかし、10話くらいスキップしてるにもかかわらず、ストーリーがわかりづらいと全く感じないのが不思議です。
なんか、だいたいのこれまでのストーリーが想像ついちゃうってのはなんなんでしょうか。
他のブログの感想とかもぜんぜん見てないのに。

そんなことはとにかく、今回、すごく良かったのが、ルイス(←名前を今、調べた)のエピソード。

gundam00003.jpg


話の中盤で、スペインでの結婚式に出席していたルイス。
そこを偶然通りかかったトリニティ三兄弟のガンダム。

ニーナ(←釘宮、今、調べた)は気まぐれでその結婚式を砲撃。
ルイスも巻き込まれ、怪我をする。
日本でそのことを知った恋人の沙慈(←今、調べた)はスペインの病院へ駆けつける。



ルイスの無事を確認してほっとした沙慈は、ルイスに指輪をプレゼントする。



gundam00001.jpg

ルイス「きれい・・・・・・」




しかし、指輪をはめるべきだったルイスの左手はもう失われていた・・・・・。

gundamu00994.jpg


このシーン、チラっとだけ、失われた左手が示されて、その後、ルイスはすぐに左手を隠してしまうんですけど、その描写がこれが決定的でもう取り戻せない喪失であることを印象づけてます。

どうも、このシーンが良すぎて、正直、心が震えた。
鳥肌が立った!(c.高田延彦)
その後、トリニティ兄弟に立ち向かっていく刹那がめちゃカッコよく見えたもの。

どうも、自分でもこのシーンに過剰反応してる気がしないでもないです。
いままでガンダム00を見てなかったくせに、なにやら熱狂しちゃってるし。
その理由が何かっていうと、もともとアニメ(とかマンガ)のなかで描写される暴力ってのに尽きせぬ興味があるんですね、自分は。
それを拙いながらもちょっと説明してみます。

大塚英志が「マンガやアニメのキャラクターというのは不死身として描かれやすい」みたいなことをよく書いてるんですけど、たしかにそういう部分ってのはあります。
たとえば、ジャンプのバトル漫画なんかは典型的なんですが、あれはキャラの不死身な身体性によりかかってストーリーを展開させてることが多い。
そういう不死身な身体性というものがもたらすカタルシスもあるわけで、それはそれでいいわけです。
見てるほうも、これはリアルな暴力とは違うと思って見てるわけだから。

バトル漫画をリアルだと感じる人はあまりいないでしょうから、まあ、これは置いておくことにして、もっとリアルだと感じられるようなものはどうか?
たとえば、これとか。

4063725537バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (24)
井上 雄彦 吉川 英治
講談社 2006-10-23

by G-Tools


バガボンドだったら、普通のバトル漫画とは違い、描写も写実的でリアルに感じられます。
ですが、本当にバガボンドはリアルなんでしょうか。

私は前に日本刀で斬られたことのあるオッサンから話を聞いたことがあります。
なんでも、若い頃に、酒に酔っ払って、見かけたヤクザをからかって遊んでたら、そのヤクザがどこかに走っていった。
逃げたんだと思って酒を飲みなおしていたら、そのヤクザが日本刀片手に戻ってきて、斬りかかってきた。
側にあるイスなんかを投げて、防戦してたら、そのうち警察が駆けつけてきて、ヤクザをしょっぴいていったらしいです。
で、ほっとしたら、上腕を斬られていたことに気づいたと。
ざっくり斬られて血はとめどなく溢れてたんだけど、不思議とまったく痛くはなかったって言ってました。

別に腕を切り落とされたわけじゃなく、骨が見える程度まで斬られただけ(斬られただけってのもどうかと思うけど)らしいんですが、そのオッサンはその後、拳を握ることが出来なくなってしまった。
腕の神経が切断されて、つながらなかったらしいです。
だから「ジャンケンでグー出せねぇんだよ」って笑ってました。

そういうことを考えると、一見リアルに見えるバガボンドですが、実はこの漫画も同じく身体の不死身性によって成り立っていることがわかります(注1)。
武蔵も小次郎も、数限りない傷を負いながら、その戦いが終わればピンピンした姿で再登場する。
あれだけの傷を負ってどこにも障害がでない、彼らはとても漫画的なキャラクターです。

私が思うに、「暴力によって失われたものは二度と戻らない」という、喪失の感覚を持たないものは真に暴力を描いているとは言えないのではないか、と。
そして、暴力というものが我々の身体を毀損せしめる決定的なものだからこそ、私は暴力に惹かれているのです。
そこにあるのは、暗くて根源的な畏れのような感情で、ある意味では宗教的なものかもしれません。
身体が危機にされされるからこそ、身体の儚さ、脆さ、そしてかけがえのなさが明らかになるとでもいうような逆説性。
とは言っても、暴力的な映画とか格闘技とか見てるだけなんですけどね。
たけしの初期の映画なんかも、暴力っていう視点から見るとめっちゃイイです。
そういえば、たけしは「おれの作る映画はハリウッド映画とは違って、ちゃんと痛みが伝わるようにしてる」みたいなことを言ってました。

で、アニメの話。

アニメ、漫画では具体的な身体性を描くのはそもそも難しい。
これは、バトル漫画的な非現実を描くか、それともリアルを描こうとするか、という態度とは別の次元の話です。
ぶっちゃけて言えば、「所詮は絵」なわけで、どれだけ残虐なものを描こうとしても、実写には負けてしまいます(注2)。
しかし、あえてそこで暴力を描こうとする逆説的な態度ってのに、どうも自分はめっぽう弱いらしい。
暴力を描きにくいものをどうやって暴力として描くか。
そういう試みに何の意味があるのかは、自分でもよくわからないんですけど、とにかく興奮します。
今回のガンダム00に熱狂しちゃってるのがいい例なんですけど。

そういえば、ガンダム00と同じく水島監督の作品である鋼の錬金術師。

B000E5KTSE鋼の錬金術師 PREMIUM COLLECTION
朴路美 釘宮理恵 豊口めぐみ
アニプレックス 2006-03-29

by G-Tools


考えてみれば、これは、最初から主人公の兄弟二人の身体が欠損していました。
兄は右手と左足、弟は全身を。
その失った身体をもう一度取り戻すために、この二人は幾多の困難を乗り越えていくわけですが、その困難な道のりというのが、すなわち失ったものの大きさを示している。
そういう、通常の漫画・アニメ的な身体性っていうものに対する逆方向からの視点がこの作品にはある。
手塚治虫のどろろにも、こうした失われた身体の回復というモチーフが出てきますが、ハガレンのほうが、もっと徹底してます。
なにしろ、やっと目的を達成したと思ったら、そこにも新たな喪失が待っているわけだから。
そこらへんが、このアニメを非凡なものにしてる理由の一つなのかもしれません。

何か話があっちゃこっちゃ行っちゃったんですけど、これからガンダム00を応援してみようかなって気になりました。
おっと、その前に、見てない10話分くらい見とかなきゃ。


注1:そういう漫画的な欺瞞ってのに、自覚的なのがこの漫画かもしれません。

4088773527リアル 7 (7) (ヤングジャンプコミックス)
井上 雄彦
集英社 2007-11-29

by G-Tools


注2:暴力を描いたアニメと言えば、エルフェンリートなんかはかなりよかったです。あの予期せぬ暴力の感覚ってのは独特。



| 感想 | trackbacks:1 | TOP↑

| PAGE-SELECT |

アクセス解析